相続登記についての雑記    2022/9

 

 相続登記が2024年に義務化されるようです。私事ながら家族に不幸があり、専門家に依頼するか自分でやるか迷った挙句、マイナンバー

カードを取得したのと予算的に余裕がない、また時間的な余裕があったので自分でやることにしました。

 申請するにあたってまず

 ①書面で申請するか

 ②オンライン(半ライン方式)で申請するか

を決める必要がありました。法務省のサイトでは①は「QRコードを使った書面申請」、②は「特例方式による申請」というのがありそれぞれ

解説が載っていました。まずそれぞれのメリット、デメリットを挙げておこうと思います。

 QRコード書面申請のメリットとデメリット

 ・データ送信時の署名が不要で、印刷した紙に手書き署名と印鑑だけで済む。

   ->登録免許税納入の場合は郵便局で収入印紙を買って紙に貼り、窓口提出か郵送しなくてはならない。

 ・法務局に行かなくても郵送で可能。ただQRコードでの申請はあらかじめデータ送信が必要。(完全書面申請は不要)

   ->間違えた場合(補正という)は再度窓口に行くか郵送しなくてはならない。そして補正に時間がかかる場合は一度取り下げさせら

   れる可能性がある。また取り下げせず補正期限(2~3日程)に間に合わなかった場合は却下され、納入した免許税が返還されなくなる

   ことがある。

 オンライン(特例方式)申請のメリットとデメリット

 ・データ送信時の署名は必要だが免許税納入はオンライン(ペイジーなど)が可能。

   ->ICカードリーダと電子証明書、銀行口座が必要。

 ・補正もオンラインで可能。

   ->ただし完全オンライン方式ではないため、添付書面は別途郵送が必要

 

 現在完全書面申請を行う人はほとんどいないと思います。(全部手書きで手間がかかる。)

 それぞれにメリット、デメリットがありますが郵送の事故の考慮、せっかくマイナンバーカードとカードリーダがあるのでオンライン申請

を行うことにしました。

 (オンライン申請(特例方式)のやり方については司法書士さんのページ(https://rsmay.com/online_sin/souzoku/frame.html)や法務省の

登記ねっと(https://www.touki-kyoutaku-online.moj.go.jp/index.html)に詳しいマニュアルがありますのでそれをご覧ください。)

 

登録免許税以外の総費用とかかった期間

役所への書類取り寄せや遺言書の検認費用=約7000円 期間は申請から完了まで2週間程

ちなみに依頼した場合は最低でも3~5万円、相続人が多くてややこしいとか不動産価格が高い場合などは数十万円になる場合

もあります。

 

 次に手続き上で気付いたことや注意点を挙げておこうと思います。

 

①故人(被相続人)の死亡時の住所証明が役所で取れない場合がある。

 これは死亡時の住所が戸籍の附票や住民票の除票に載っていない(もしくは違う)場合です。死亡時から年数がかなり経ってから登記する

場合に起こります。

 戸籍の附票や住民票の除票には死亡者の住所が載りますが、年数が経ちすぎると役所で抹消されるためです。

 登記申請時は被相続人の最後の住所証明が必要ですが、これがない場合は手書きの登記済証があればこれに代えることが可能のようです。

 (平成16年頃からは登記識別情報となりました。)

 

②被相続人の戸籍謄本は一つとは限らない。

 昔の戸籍謄本は現在「改製原戸籍」と言われ、どこで生まれたなど詳細に「文章」で書いてありますが現在は「単語メイン」です。

 遺言書の検認時や登記申請時に被相続人の出生から死亡までの全ての戸籍(除籍)謄本が必要ですが、最近の戸籍謄本は過去転籍していた

場合の直前の戸籍所在地が掲載されていないようです。そのため間が抜けてしまって再度取り直しの可能性があります。

 また昭和の初期の戸籍では被相続人の祖父が戸籍筆頭者の場合があり、その後何らかの理由で被相続人の父母が戸籍筆頭者に代わった場合

新しい戸籍が作られるため計2通となる場合があり、これも後の分を再度取り直さなければならない可能性が出てきます。

 戸籍所在地が遠方で郵送で取る場合は申請書に「被相続人に関わるすべての戸籍」と指定すればいいでしょう。そのため為替証書は余分に

入れておいた方がいいと思います。

(注)2023年以降電子申請システムによる申請が各地域で順次可能となっているようです。この場合クレジットカード決済が可能になります

ので手間が省けます。申請前に確認を。

 

③添付書類に注意

 戸籍謄本や遺言書、不動産評価書などの書類が複数枚にわたる場合で原本還付の場合はコピーしたものに必ず割印と署名・捺印をしなければ

なりません。また還付される書類を送るための封筒を同封し、書留用の切手も余分に入れた方がいいでしょう。還付書類は本人限定郵便

来るので返信用封筒はレターパックにしない方がいいでしょう。

 

④法務局からの電話は必ず出る。

 間違いや不足があった場合はシステムからの返信だけでなく法務局の登記官から補正するよう電話する場合がありますが、不在などをせず

 必ず出るようにした方がいいでしょう。

 またQR申請やオンライン申請では画面上で審査に入ったかどうか、また補正しろなどのメッセージが届きますが、細かな点を言ってくること

 がありますのでそれも必ず聞いた方がいいでしょう。聞かずに補正したがやり直しとなり期限が切れる可能性もありますので要注意です。

 

 (続く)